——差別されてないって言いたがる人いますからね、最近はいっぱい。

田亀:そうそう、そこらへんはちょっとね、思うこともあるので。要するに主人公が傷付いて悩むみたいな感じで終わらせるんではなくて、考えるキャラにしたいなとは思ってるんです。

 ひとつのポイントはゲイが2人であってもロマンスではないんですよ、この話は。好きな人に言えないっていう悩みは描いてるんですけども、ラブロマンスを描いてるつもりは全くないんですね。もちろんロマンスって素敵なことだけど、そういう作品は世の中にいっぱいあるから、べつにあえて私が描く必要もないと思う。それにロマンスだったら男女だろうが男同士だろうがあんまり関係ない気がするんです。ゲイの話ってもっといろいろ可能性あるでしょと思ってる。

——『弟の夫』や『僕らの色彩』の連載が一般誌でできるようになったり、テレビドラマ化されるようになったり世の中の状況はどんどん変わって、リアルでもさまざまな可能性が出てきていると思います。

田亀:たしかに、何かやりたいと思っている人にとっていい状況にどんどんなっていっていると思うので、このチャンスを使って世の中に打って出るくらいのことを考える若い人たちが出てきてくれればいいですね。オジサンたちとしてもできる限りのことはしたいと思います。少しでも選択肢が増えたり、偏見が減ったり、少しでも世の中が前に進むようにがんばるつもりです。そこらへんは任せときなさい!

取材・文・写真(プロフィール)/宇田川しい 写真(ポートレート)/島崎ろでぃ

『弟の夫』(全4巻/双葉社)

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