台湾プライドの歴史

 ここで、今年で17回目を迎えた台北のLGBTパレードの歴史を振り返ってみよう。台湾は日本に遅れること9年にして、ようやくプライドパレードが始まるが、急テンポで参加者を増やしていき、2006年にはすでに東京の規模を超えて、アジア最大のLGBTプライドに成長していた。

 そもそもパレードが始まったきっかけは、台北市政府が市の予算を割いて、2000年から「同志公民活動」と題するLGBTイベントを開催し始めたことに遡る。当時は後に総統に就任する国民党の馬英九が市長を務める時代であった。2003年には街頭でのパレードという形をとることとなり、第1回目の台湾同志パレードが「同玩節」として開催された。夜になるとゲイの出会いの場(屋外ハッテン場)として賑わう二二八和平公園から西門町付近までを行進し、約2,000人が参加した。

 この初回は台北市の主催で行われ(予算70万台湾元、約250万円相当を補助)、ゴール地点では馬英九市長がステージに上がり、以下のように挨拶している。

 「台北市は国際的な都市として、異なるエスニックグループ、文化を尊重しなければならない。世界の主要都市には膨大な同性愛者のコミュニティがある。同性愛者のコミュニティも同様に尊重されることが、ひとつの都市が豊かで多様であることを示す重要な要素のひとつである」

 翌2004年からは当事者団体が主催するようになり、後年に「台湾同志遊行連盟」が発足する。これ以降、今年までの台湾プライドの経緯は以下のとおりである。

 台湾同志パレードの歴史(出典『台北書刊』621号付録「多感台北」3頁)

 同志パレードはその後、台北以外の地方都市にも拡散し、今では台湾全土で同志パレードが行われるようになっている。今年は高雄、台南、台中、花蓮、台東、新竹、宜蘭、苗栗など、各地で開催されている。

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