■2019年の取り組みの結果

 『TRP2019』に向けての3つの取り組みについて説明させていただきました。その結果、社内・社外でさまざまな変化や反応がありました。

 まず社内では、LGBTQTRPに対する興味や関心がものすごく高くなりました。そして、アライが可視化できるようになりました。また、この取り組みに対する関係部署が増えました。

 そもそもTRPって何? LGBTQって何? アライって何? あるいは、アライって、TRPに参加するために必要な資格なの? そんな状況だったにも関わらず、勉強会や実際にTRPに参加することによって、がぜん興味や関心が高まりました。

 また、「アライの可視化」でいうと、弊社では「アライシール」というものを作っているのですが、このシールを手帳やらPCやら携帯やらに貼っている人が目に見えて増えました。

 こんなこともありました。私が所属する東京支社内で、これまでLGBT当事者の方を知らなかったのですが、TRPが終わったあとに、3名の当事者の方から「ありがとね」と声をかけていただいたんです。ゲイが2人、レズビアンが1人。とても嬉しかったです。

 あるいは、「どうしてパレードに、フロートを出して参加しないの。絶対に参加しなきゃダメでしょ」といった声や、1日目に自社ブースを手伝った方からは、「他のブースが全く見れなかったから、翌日に妻と改めて会場を見て回ったよ。多様性を知る絶好の機会なのに、自分たちのブースで忙しくて他が見れないのはもったいないよ」と。「今年は参加できなかったけど、来年は必ず参加するよ」といった声もありました。

 社外の当事者からは、「JTさん、一番変わったね」とか、弊社のパンフレットの文字がレインボーなんですが、それを見て、「だから、JTさん、この文字ってレインボーなんだね」と言われ、私たちにはそんな意図はなかったんですが、そういうふうに見ていただけることを嬉しく思いました。

 

 関係部署については、2018年は、勉強会が4部署、ブース出展は2部署で担当していて、勉強会には合計で約30人が参加しました。一方、2019年は、勉強会が32部署+グループ会社2社、ブース出展は19部署。勉強会のほうは東京支社内で約100人、他の都市にも行かせていただいているので、それを上回る数の人が参加したことになると思います。

 関係部署を増やしたのは、ただ単に勉強会の参加者を増やしたかったという部分が大きかったのですが、去年のTRP協賛企業向け説明会で、ある企業の方がこうおっしゃっていました。業務化・プロジェクト化のやり方は、取り組む部署の主管によって、実現度や影響範囲が変わるよ。やり方に正解はないけれど、やりたいことが大きいのであれば、巻き込んでいくのも大きくしていく必要がある。それを聞いて、できるだけ巻き込んでいければ、そう考えました。

■2020年に向けて

 2019年の取り組みにおいても、やはり反省点は残りました。アライ濃度を高める取り組みというのは、そう簡単にはいかないんだな、と感じたのも事実です。やはり道のりは長いのです。その一方で、少しずつでも、必ず高まっていくという実感を持つことができました。これは大きな一歩だったと思っています。

 主催団体が掲げる多様な社会の実現に向けて、JTも、アライの輪を広げ、ネットワークを広げ、その一助になれるように、これからも頑張っていきたいと思っています。今後とも、よろしくお願いします。

 

文・構成/山縣真矢

 

■日本たばこ産業株式会社
1985年41日に旧・日本専売公社から業務を承継し、特別法「日本たばこ産業株式会社法」に基づき設置された、たばこ並びに医薬品、加工食品を製造・販売する特殊会社。
●公式サイト:https://www.jti.co.jp

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