LGBTQ+に関する用語をわかりやすく解説していると、韓国で話題となっている「YOUTUBER JLIPS(마성의 게이)」さんのブログ。 これをご本人の許諾のもと日本語に翻訳し、日本のみなさんにもお届けします!

講座一覧を見る:https://trponline.trparchives.com/magazine/rensai/lgbtqword/

日本のみなさん、こんにちは。
YOUTUBER JLIPS(마성의 게이)です。

皆さん、まずは私からいくつかクイズを出してみますね。

 


Q1
Aさんは性的対象がありません(=無性愛者)。
Aさんは性(sex)に対してトラウマがあります。
Aさんはトラウマのせいで性的対象がないのか、
トラウマの有無にかかわらず性的対象がないのか分からないと言います。
Aさんは無性愛者でしょうか?

 


Q2
Bさんはジェンダーがないと感じます(=ジェンダーレスorアジェンダー)。
※ジェンダーレス(genderless)=ジェンダーがない(ジェンダー自体が最初からありません)。
※アジェンダー(agender)=ジェンダーがない(ジェンダーがありませんが、それでも「ジェンダーがない」という「ジェンダー」)。

しかしながら、自分がまったくジェンダーがないと感じるジェンダーレス(genderless)なのか、
ジェンダーがない「ジェンダー」と感じるアジェンダー(agender)なのか判断が付かずにいます。
Bさんジェンダーレスでしょうか? アジェンダーでしょうか?

 


Q3
Cさんは生物学的(and指定性別)女性です。
※指定性別:生まれたときに割り当てられた性別
Cさんは生物学的(and指定性別)女性に性的に惹かれます(=同性愛者)。
Cさんの性自認は、ジェンダークィアです(≠同性愛者)(=異性愛者)。
※性自認(gender identity):自身の性別をどのように認識しているか。いわゆる「こころの性」。
※ジェンダークィア(genderqueer):男性(male)、女性(female)ではない第3の性。

Cさんはハッキリとは説明できませんが、男性に惹かれる経験をすることもあります。(≠女性愛者)(=両性愛者?)。
Cさん同性愛者でしょうか? 女性愛者でしょうか? 両性愛者でしょうか?

 


曖昧〜ですよね?
私の投稿へのコメントには、自分の性自認や性的指向を尋ねてくださる方が多いです。
私はこういう状態ですが、無性愛者でしょうか? 私の状態がこうならジェンダーフルイドで合っているのでしょうか? 先天的なものでしょうか? 後天的なものでしょうか?

そして、私は可能な限りきちんとお答えしようと頑張っています。
こういう部分ではどのように感じていますか? ああいう部分ではどのように感じていますか? と確認しながらですね。

しかし、私がどれだけお答えしたとしても、決まった答えがあるわけではなく、
自分自身をどのように認識(ラベリング:labeling)しようが、それは本人次第ということです。
ラベルまたはレーベル(label):(人・モノの性格などを描写する)レッテル[札]。(例)男性、異性愛者、トランスジェンダーなど

本人が「無性愛者」と言えば、誰がなんと言っても「無性愛者」であり、
本人が「アジェンダー」と言えば、誰がなんと言っても「アジェンダー」であり、
本人が「同性愛者」と言えば、誰がなんと言っても「同性愛者」であるのでしょう。
それぞれのアイデンティティ(ラベル:label)の意味は、本人が決めるものです。

 


例えば、
Q1Aさんが「私にはトラウマがあるけど、とにかく今は性的対象がないから無性愛者とするよ」と言えば、
Aさんは誰がなんと言っても無性愛者です。
Q2Bさんが「私はアジェンダーという言葉がなんとなく気に入らない。だからジェンダーレスとするよ」と言えば、
Bさんは誰がなんと言ってもジェンダーレスです。
Q3Cさんが「私は自分のジェンダーがどうであれ、生物学的(and指定性別)女性が好きな生物学的(and指定性別)女性で、
生物学的男性はそんなに好きじゃないから同性愛者とするよ」と言えば、
Cさんは、誰がなんと言っても同性愛者です。

 


自分をどんなアイデンティティと認識しようが、アイデンティティというもの自体が
私が私につけてあげる名前(label)です。
他の人みんなが違うと言っても、
私がその名前に適していると感じて、私がその名前を望んだら、
自分をその名前で呼ぶといいと思います。
そして他の人々は、その決定をただ尊重してくれればいいのです。

しかし、ここで重要なのは、
皆さんがどんなアイデンティティを持とうと、
その悩みの中心が「私のアイデンティティの名前は何だろう?」ではなく
「私はどんな人なのか?」でないといけないということです。

 


例えば、
Q1Aさんは、無性愛者と自認しました。
ところで、無性愛者と自認した瞬間から「私は無性愛者に適しているのか?」を継続的に悩むことになります。
「こんな私の部分は、適していないんだけど。そしたら、私は無性愛者ではないのか?」とね。
ところで、ここで向かわなければならない正しい方向は、「私は無性愛者なのか?」ではなく、
「無性愛者のように性的対象がない人がいるんだ。私はどうなのか? ああ、考えてみると、私にこういう面があるんだ」です。
つまり、無性愛者という用語は、本人について知る手段の一つになるべきで、
私が無性愛者か否かが中心になってはいけないということです。

 


もちろん、ラベル(label)の力を無視することができないのも事実です。
トランスジェンダーの中で本人をMTFまたはFTMと自認せず、
MTMまたはFTFと自認する人がたまにいます。
※FTM(Female to Male):指定性別(assigned sex)は女性(female)だけど性自認(gender identity)は男性(male)のトランスジェンダーを表す略称。
※MTF(Male to Female):指定性別(assigned sex)は男性(male)だけど性自認(gender identity)は女性(female)のトランスジェンダーを表す略称。
※MTM(Male to Male):常に男性だったという言葉を反映。
※FTF(Female to Female):常に女性だったという言葉を反映。

彼らはトランスジェンダーのコミュニティ内でMTF、FTMの用語を使わないため排斥されたりもするそうです。
エイディアン・ダウリング(Aydian Dowling)の場合、自分は常に男だった状態から男の体を取り戻したいう意味でMTMと自認しましたが、後ほどラベル(label)の力を無視することができないといって(there's power in that label)FTMと自認を変えました。

FTMトランスジェンダー「エイディアン・ダウリング(Aydian Dowling)」

 


しかし一方では、最近芸能人の中から、自分の性自認または性的指向がラベリング(labeling)されることを望まないと言う人物がたくさん出てきています。

※各人物の下に引用したフレーズは、2016.10.23以前の資料をもとに作成しました。

▼アメリカの俳優
アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)

男性も女性も愛したが、自分の性的指向を規定したくはないと述べた。

▼アメリカの歌手
マイリー・サイラス(Miley Cyrus)

人に惹かれるときジェンダー(gender)を見たりはしないとし、自分のジェンダーにもセクシュアリティにもラベル(label)を貼りたくないと述べた。

▼映画『トワイライト(Twilight)』の主人公
クリステン・スチュワート(Kristen Stewart)

「私はあいまいな私の人生がとても好きだ。(中略)3~4年後には、自分が同性愛者なのか、異性愛者なのか規定することが重要でないと考えている人が多くなるだろう。ただあなたでいなさい」

▼映画『ハンガー・ゲーム(Hunger Games)』の主人公
ジョシュ・ハッチャーソン(Josh Hutcherson)

「今は、私が100%で異性愛者と言えます。しかし1年後に、突然ある男性に会って「うわ、この人に惹かれる!」と感じることもあるじゃないですか。(中略)何でも自分を100%何かと規定してしまうのは近視眼的であり、オープンマインドではないと思います」

▼イギリスのモデル
カーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)

「私でないものを私であるように偽りたくない(I do not want to pretend to be something I'm not)」と言って、女性と交際していることを公表した。

▼アメリカの俳優
アンバー・ハード(Amber Heard)

ガールフレンドの存在を公表していた経験があり、自分のセクシュアリティを規定したくないと述べた。

▼アメリカの歌手
デミ・ロヴァート(Demi Lovato)

自分のセクシュアリティを聞く質問に「確定する必要はないと思っていますし、かといって、否定しているわけでもありません」と答えた。

 


さらに、この講座を書くためにインターネット検索をしていた中で見つけたQ&Aが助けになりそうだったので、ここに添付します。

Q:私は18歳の男性です。恋愛はしたことがありません。女性とキスもほとんどしたことがないです。
私は男性に惹かれると感じますが、女性と付き合うことについてもオープンにしています。
実はまだ私は自分自身を理解している途中で、まだ自身を認定(ラベリング:labeling)したくなくて、私はバイセクシュアル(両性愛者)と言っています。
私はラベル(label)を必ず使わなければならないでしょうか?

A:ラベル(label)は、ツールです。コンパスのようなものです。森の中を歩くときに便利でしょう、道を失わないように助けてくれますからね。
しかし、本人がコンパスに恋に落ちたり、コンパスを崇拝するようになったり、コンパスが自分を決めつけるようになると、その人は混乱します。

人々は、ラベルで常にこんなことをしています。私たちは、自分自身を何かに分類しては、その何かがすぐに自分自身だと勘違いするのですね。
私は技術者で、58歳、異性愛者、男性です。
この分類は、誰かが非常に短期間で、私は誰なのか、少し分かるようにしてくれる抽象的なラベルです。

たとえば、私の行動が異性愛者らしいか、技術者らしいか、58歳らしいかについて心配し始めたとき、私に混乱が生じて、このラベルがすなわち私だと勘違いするようになるのでしょう。
そう、いいんですよ。本人が会話するのにラベルが必要で、他の人が本人の性的指向について混乱してほしくないとしたら、ラベルを使ってもいいです。しかし、そのラベルがあなた自身のことを表しているとは思わないでください。むしろその逆です。

[参考資料 : https://www.quora.com/If-I-dont-label-my-sexuality-What-do-I-identify-as-to-other-people

 


今回の講座が、皆さんがアイデンティティを見つけていく過程において役に立つことを期待しています。

では、次回の講座で会いましょう♥
ハッピープライド!

続けて[第21回]を読む:https://trponline.trparchives.com/magazine/lgbtqcourse/17334/

※本連載は24回で完結します。各回個別の解説だけでなく、全体を通して、LGBTQ+について、少しでも理解が深まればと考えています。

※LGBTQ+に関する用語や定義等は、新しい研究成果やものの見方、知見によって更新されていくものです。また、考え方や立場などによって見解が異なる場合もあるでしょう。これが「正解」という明確な答えがないことは承知しつつ、なるべく一般的で、できるかぎり新しい見解を取り入れられるよう努めていきたいと思っています。その点、ご理解ください。

原文:YOUTUBER JLIPS(마성의 게이)
JLIPSという名前でユーチューブ活動をしていて、ジェンダーとセクシュアリティに関するブログである마성의 게이を運営している。
( Youtube:http://youtube.com/jlipss / Blog:http://blog.naver.com/queerdigger
日本語訳:on Lee(TRP運営スタッフ)

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