――国内の「Outforce」の活動について、教えてください。
小川絢也(以下小川) 日本でグループが発足したのは2017年7月です。発足当初は「LGBTQ」という言葉さえまだ浸透しておらず、社内に当事者がいるのか、という認識すら周りが持っていない状況でした。私はゲイであることをオープンにしていて、自分の体験談などを話す機会を作りながら、社内啓発を進めています。TRPへ会社として参加することによって、私たちが「平等」に関して取り組んでいるところを社内の人たちに見てもらって、気づきを得てもらい、さらに輪を広げて社内のムーブメントを作っていこうというのが、今の活動の中心です。
松本絢乃(以下松本) 私もアライの一人として「Outforce」に参加しています。セールスフォースに転職したきっかけの一つが「平等」というコアバリューに共感したからです。アメリカ留学時代から周りにはLGBTQの友人がたくさんいたので、日本でもいろんな人がお互いを尊重して生きていける社会が作れたらいいなと思っていました。LGBTQコミュニティだけじゃなく、どんな人でもいきいきと活動して働けるような環境にしていくには、社員一人ひとりが自分たちの役割に責任を持って取り組んでいかなくてはいけないなと思っていますし、それがアライとしての活動につながっています。
――日本で「Outforce」の活動を進める上での課題はなんでしょうか。
松本 どんなふうに関わったらいいか、イメージがわかない方が多いように思います。
小川 私たちは、平等を進めるうえで4つのステップがあると考えています。尋ねる(ask)、聴く(listen)、参加(show up)、対話(speak up)というステップの中で、TRPへの協賛や参加はまさに参加(show up)の段階になりますが、社内の認識を根付かせるのはまだまだ難しいと感じています。それでも先日、日本法人の全社会議の際、新井さんが会社としてTRPに参加することをしっかりPRしてくれました。私たちのグループに新井さんのような役員の立場の方がいてくれるのは、とても力強いです。
新井 小川さんのようにオープンにしている人以外にも、社内にはLGBTQの人たちはいるという認識を持っている社員がまだ少ないよね。それはオープンにできない人がいる社内環境ということでもあって、身近な問題としてとらえきれていないのだと思います。