——今年の取り組みを具体的に教えてください。
菅 昨年、レインボーカラーを基調にしたスペシャルパッケージを《ライフガード》のペットボトルで展開し、中部・関西・沖縄エリアの自社の自動販売機でも販売しました。すると、自分の生活圏内ではセクシュアリティの話題が全くできない街に住む当事者から、自動販売機で売られているレインボー・ライフガードにささやかなサポートを感じています、というメッセージがツイッターで届いたんです。こういう反響もあるんだということを知り、今年は、缶のレインボー・ライフガードを全ての自動販売機に入れることにしました。以前、お会いした当事者の方に「自分の地元では、LGBTはいないことになってます」と言われたことが忘れられなくて、自動販売機という「メディア」を使って、そういう人が少しでも心温まる瞬間を日常生活の中で感じてもらえたら嬉しいですね。それから、新しい取り組みとして、「のんでCHANGE!」と銘打って、自動販売機での売り上げの一部を、東京をはじめLGBTのパレード運営団体等に寄付できる仕組みも考えています。
——東京だけでなく、さまざまな地域のLGBTコミュニティも視野に入れているんですね。
菅 大阪や名古屋、福岡など、それぞれの都市のパレード主催団体等の代表にお会いして、話を聞いてみたんです。すると、街の規模から風土、行政や地方政治の在り方など、本当に、それぞれの街で置かれている状況が違うんです。それこそ「多様性」です。こういう地方で活動している人たちの取り組みが、いい形で伸びていくといいなと考えています。これからの10年くらいの間に、日本の津々浦々まで、この「レインボーバリュー」が広がっていくことは、日本の未来にとっても重要なポイントだと思っています。こんなふうにLGBTの方々と、いろいろな形で関わらせてもらって、シンパシーを持ってもらえるブランドになってきた実感もあり、それはそれでとても嬉しく感じています。結局、「こういう生き方もある」「こういう方法もある」と、ちょっと勇気を出してやってみると、けっこういい感じで物事が進んでいくものです。選択肢が増えていくことは、いいコミュニティづくり、ひいては、いい国づくりにつながっていくと思っています。そして、「選べること」「選択肢があること」はとても素晴らしいことで、大切なことなんですが、それは決して当たり前に享受できるものではないんですよね。
取材・文/山縣真矢
●今年もやります!
《ライフガード》
スペシャルパッケージ
TRP2019「プライドフェスティバル」の会場で配るほか、中部、関西、沖縄エリアのチェリオ自動販売機で販売いたします。
●「のんでCHANGE!」
「のんでCHANGE!」プランでの自動販売機において、その売り上げの一部がTRPをはじめ、LGBT団体の応援にあてられます。
[本社]大阪府高槻市
1961年設立。《ライフガード》をはじめとする清涼飲料を製造・販売する。グループ会社として「チェリオ中部」「チェリオ沖縄」がある。