もうちょっと大人な話はないのと思う方には、咲乃月音『僕のダンナさん』(宝島社)がオススメです。
「お前もそろそろ良い相手いないのか」という父親の言葉を受けて、30歳の長男が彼氏を実家に連れて来た。いつも長男の味方だった祖父はすでに他界。さて、父も、母も、妹も、妹の彼氏も、地元の同級生も巻きこんで大騒ぎになる!
心が痛くなりながらも、でも笑えてしょうがない、家族に振り回される人々のエピソード集です。最後には、和解したように見えますが、共生は無理だということで、主人公と彼氏は海外に行ってしまいます。この最後がとっても良いなーと思うんです。「帰りたいけど実家が遠いからなかなか帰れない」とか中途半端な言い訳しないんです。いつでも会える距離で共に生きることは無理、でも生きてることは知りたい。そう、「知人」ぐらいの距離が良い!
いやあ、LGBT以前の問題もあるんですがね、というお話は、マイク・ライトウッド『ぼくを燃やす炎』(サウザンブックス社)がおすすめ。話のメインは、学校でのいじめと、柔道教室で出会った少年との恋ですが、DV父親の存在も主人公を苦しめる大きな要因です。母が殴られないように、そして自分も殴られないように、家でも気の休まらない生活をしています。姉はすでに家を出てしまってなかなか実家には帰ってこない。万が一父にゲイだということがバレてしまったら、と怯える主人公は、母と一緒に家を出ようと計画を立てます!