由梨:海外に出ると言っても、いくつかの国を検討されたうえで、オランダに決めたわけですよね? その決め手というのは?

あっちゃん:そうですね。僕、ひと通り、全世界調べました。エストニア、リトアニア、ポルトガル、アルゼンチンとか、いろいろ。何を基準にしたかというと、失業率の低さ!

由梨:え、そこ??(笑)

あっちゃん:具体的でしょ? 現実的なの。失業率の低さと、安全性・治安。だから、自分のセクシュアリティがどうこうってことではなく……。平均収入の高さとか、土地代のレベルとかでランキングを見て、オランダはすごくいい。ノルウェーとかスイスは給料はいいんだけど、税金で持っていかれる分も多いし……。オランダがちょうどいいっていうか、バランスが取れてたっていう。

由梨:ああ、じゃあ本当に経済的な面を見てということなんですね。

あっちゃん:そうそう、まあそれにプラス、同性婚ができたり、ゲイフレンドリーなこともあったし。ま、そんな程度かな(笑)。オランダって、カップルで来てる人とか子供がいるとかそういう人にはとっても優しい国なんだな、って実感してる。でもシングルでここに来てみると、その楽しさで言うと……。日本のほうが楽しかったかな。

由梨:え?? そうなの? 意外。ゲイ男性はシングルライフを謳歌しているのかと、子育て中のレズビアンは思っていたけれど……。

あっちゃん:いや……。オランダだとほら、みんながみんな、同じ生活しましょうね、って感じじゃない? 差別がないというか区別がないというか。ゲイだから、とかストレートだから、っていう線引きがね。

由梨:確かに……、ないですね。

あっちゃん:まあ、それもあってか、ゲイバーとか、ゲイクラブのチョイスが少なすぎる!

由梨:えー、意外! でも確かに、ゲイだからと言ってゲイクラブに行く必要はないだろうという発言(連載第1回)とか、ゲイクラブにストレートの女の子が多くなってくる傾向とかいう発言(連載第5回)は聞かれたかも。

あっちゃん:混ざっちゃってる!(笑) 僕としては、区別してくれたほうがいいんだけど。僕は生まれたときからこんな感じで、ゲイとして差別されることもなく、このまま~の状態で生きてこれて、ラッキーなんだけど。まあ、苦労をせずにゲイライフを楽しんで生きてきてるので。

由梨:ありのままの系ですね……。これは学ぶところが多い!

あっちゃん:まあだから、遊ぶところが減っちゃった、っていう感じです。カップルにはとても住みやすい国なんだろうけど。シングルだと、まあ、ちょっと現実は違うかな、と。オランダの法律では、男性と結婚もできるし、作ろうと思えば子供も作れる。だから僕、日本にいる独身の人の気持ちが痛いくらい分かるようになりました!

2018年のアムステルダム・運河パレードの様子

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