由梨:なるほど。すっかり楽しいゲイライフだと思っていたら、そういうわけでもないんですね。これからオランダに留学してみたいとか、住んでみたいと考えているゲイ男性にアドバイスとか、ありますか?

あっちゃん:カップルで来い、と(笑)。カップルで来るにはとっても良い国。独身で来ちゃうと、ちょっとね……、寂しいときがある。彼氏がいる状態で、来てください?? ふわっと夢を見させてあげられるような感じじゃなくてごめんなさいね。

由梨:いや、やっぱり住んでいる経験者の言葉は重要です。ありがとうございました!

あっちゃんの言葉は意外でした……。シングルゲイ男性なりの悩みがあるということを私は知りませんでした……。

オランダ南部ゼーラントにて。おいしい牡蠣が食べられる。右がタカさん、左がシンくん。

■インタビュー with タカさん&シンくんカップル

由梨:まず、タカさんとシンくんのお二人がどんな経緯で、いつごろオランダにいらしたか、お話しいただけますか?

タカさん:2017年の7月です。シンくんは人気者だから、さよならパーティーがたくさんあったので、1か月遅れの8月にジョインしました。

由梨:ちなみに、タカさんがオランダに来たきっかけは?

タカさん:勤めている会社がオランダ資本の外資系企業なんです。その日本支社で5年ほど勤めた後、希望してグローバル本社のあるアムステルダムに異動しました。ゲイに最も住みやすい国と聞いていたので、来るのをとても楽しみにしていました。

由梨:オランダに来るきっかけはお仕事だったんですね。彼氏を連れての来蘭とのことでしたが、そのあたりはどうでしたか?

タカさん:こちらに来るときに最も心配だったのが、彼氏のことでした。彼が日本に残りたいと言ったら、オランダに行くのはやめるつもりでした。しかし、彼は「自分が希望したことだし、タカが行くために多くの人が動いてくれたんだから」と背中を押してくれ、二つ返事で勤めていた会社を辞めて一緒に行くことを決めてくれました。もうその男気に感動しました(笑)。

由梨:いいお話だ。

シンくん:タカは付き合いだした時期をよく覚えてないんだけどね! 付き合い始めたのは2016年の7月なんです。で、タカからオランダの話を聞いたのが同じ年の12月。

由梨:なるほど。会社の反応はどうでしたか?

タカさん:日本ではカミングアウトしていなかったんです。でもオランダに来ることになってグローバルの人事(アムステルダム)とやり取りする中で、結婚してなくても、異性愛者でも同性愛者でもパートナーを連れてこれるというのが分かって。「僕、彼氏を一緒に連れていきたいんだけど、そんなの可能でしょうか」って聞いたら「もちろんですよ」と、あっさり。それよりも、同性だからとか異性愛者だからとかで差別されるとでも思ってるの?? みたいな切り返しでした(笑)。オランダの洗礼を受けました。

由梨:ですよね、オランダなめるなよ! みたいな。私もそんな経験が市役所でありました、同性結婚の書類を提出したとき(連載第1回)。

タカさん:僕たちの場合は、会社の人事がすべてビザや書類などをそろえてくれたので、その点では本当にスムーズにオランダに来ることができました。

シンくん:僕は飲食店で働いています。パートナービザ、就労ビザも、タカの会社がすべて手配してくれて。基本的に制限なく仕事もできます。

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