(3)平等権違反
 ①憲法7条が規定する平等権には、性指向による差別も対象に含んでいる。②民法婚姻規定が異性間にだけ婚姻を成立させているのは、同性に性指向が向く者を不利にする差別的扱いである。③性指向は変更しがたい個人的特徴であり、疾病でもないのに、同性愛者は社会的、法律的に排除され、差別を受けてきた。④同性愛者はマイノリティであり、政治的弱者であり、民主的手続によって法律上の劣勢を挽回することは困難。⑤性指向による差別的扱いは、厳格な審査基準によって合憲性を判断すべきで、重要な公共利益の追求を目的とし、手段と目的の間に合理的な連関性がない限り、憲法7条の平等権保障に符合しない。

(4)婚姻制度の目的との関係
 ①婚姻制度の目的は後代を延続させることではないし、それは結婚の不可欠の要素でもない。子どもを持たないことは異性間でも認められている。ゆえにこれを理由に同性間の婚姻を否定することは、不合理な差別的扱いである。②同性間に婚姻を成立させても、異性婚が構築した基本的倫理秩序にはなんら影響はないし、それを理由に同性婚を認めないのは、不合理な差別的扱いである。

(5)2年の猶予期間
 ①違憲状態が無期限に長引くことを避けるために、関係機関は2年以内に法律の修正ないし制定を完成させるべきである。②民法婚姻章の改正、民法親族編に単独の章を設ける、特別法を制定する、ないしその他の方法によるかは、立法機関の裁量の範囲内の事項である。③2年経過後も立法措置がとられない場合は、現行婚姻章の規定にもとづいて同性間の結婚登録を可能とする。

(6)異性婚への影響
 ①異性婚の当事者の権利、義務には変更はない。②性別を同じくする両名に、共同生活を営むために、親密性、排他性ある永続的結合関係を成立させないことが、憲法22条、7条に反するかどうかにつき解釈するだけであり、他の部分には及ばない。

第748号解釈を記者会見で公表する司法院秘書長、呂太郎氏(当時)。©中央通訊社

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