限られた情報源(主にインターネット)で知る限りですが、日本では子育てがしずらい環境だと聞きます。電車にベビーカーで乗ると白い目で見られたり、最悪の場合、何か暴言を吐かれるとか。アムステルダムのトラムには、ベビーカー専用のスペースがあり、そこに乗ります。トラムがどんなに混んでいても、車掌さんが「そこの方、どいてください。ベビーカーが乗ります」とスペースを作ってくれます。ただし、ベビーカーのスペースは2台に限られていますので、乗車するときにすでに2台置いてある場合は、「次のトラムに乗ってください」と言われる。たま~に乗せてくれる車掌さんもいますが。

話がそれてしまいました。一生懸命、娘に日本語で話をしてはいるものの、まだ3歳。珍しくアムステルダムが30度を超える夏日に、娘に氷をあげたところ、「暑いから、おいしいだね」と言いました。「うん、そうだね、おいしいね」。おいしいだね、を間違っていると言うとなんだかかわいそうなので、おいしいね、と言い返して「これが正しい言い方なのよ」とメッセージを送る。日本にいる、日本語が普通にできるみなさん。日本語がへたくそ、不自由な方に遭遇しても、優しく対応してあげてください! 日本語がうまくしゃべれないということは、裏を返せばその人は別の言語をしゃべれるということ。日本語のできる・できないを、優劣という見方で判断しないでくださいね。私が日本に帰ると気づく、コンビニの店員さんたちの多国籍化! 日本も変わってきましたね。

多言語・多文化・多国籍。さらには多様な家族。先日幼稚園に娘をお迎えに行きました。娘が「おかあさ~~~ん」と大きな声で私を呼びながら抱きつく。「今日も楽しかった? 今日は何したの?」「今日はね、ぬり絵と、お外で遊んで、あとはお昼ご飯いっぱい食べてね……」。私たち二人を不思議そうに見つめる同級生。「ねえねえ、今日、ママは来ないの?」(つまり、「この人(私のこと)は誰?」と聞いている)。「これはお母さん。私のもう一人のママだよ」。「?」「私にはママが二人いるの。ベネッサと由梨」。

■金 由梨
東京都台東区出身。2009年にエラスムス大学大学院留学のためオランダに移住。
2010年に同性パートナーとワシントンDC(アメリカ)で結婚。現在アムステルダム在住。アムステルダム自由大学大学院にてHRマネージメントを勉強している。3歳になる娘と、5月に出産したばかりの第二子と、二人の子育てに奮闘中! 
1 2 3
<

バックナンバー