みなさん、こんにちは。これまで数回、カミングアウトに関しての私の意見と体験を書いてきましたが、今回は私の母が私のカミングアウトをどう受け止め、何を考えてきたのか話を聞いてみました。そういえば10代後半でカミングアウトして以来、ちゃんと話をした記憶が私にはないので、よい機会だと思ったのです。
ちなみに私の母、三浦由紀江(65歳)は若くして妊娠、出産、結婚をしており、27歳のころにはすでに3人の子供がいて、40代前半まで主婦という、本人曰く、よくある子供中心の平凡な専業主婦人生だったようです。23年の専業主婦生活から一転、44歳から初めて駅弁販売のパート勤務を経験するなど、最近はアクティヴに仕事や遊びを楽しむ母です。JR新宿南口で駅弁を販売している「三浦」という名のおばちゃんは、私の母です。
私の記憶では10代後半でアメリカのいとこの家に遊びに行った時に、「この距離を味方に、メールでさりげなく同性に興味があることを伝えてみよう」と思いつき、勢いに任せて「おそらく男性には興味がない」みたいなメールを送った記憶があります。その時の母は、「あなたはそれを私に伝えたことでスッキリしたかもしれないけれど、私にも聞かない自由がある」という、なんだか冷たい返信が来て、「言わなきゃ良かった」と後悔しました。「そんなあなたを誇りに思うわ」と素敵なエンディングを期待したわけじゃないけど、「聞かない自由もある」という、つまりは「そんなことは知りたくない」と言われたわけで、受け入れられなかったという気持ちが苦しくのしかかりました。母曰く、突然の告白に戸惑ったし、どこかで「なんでうちの娘が」という気持ちもあったようです。日本に帰国後、その件については触れず、またいつもの日常に戻りました。
母はそれまでにも、ゲイ、レズビアンといった方々に対して、「それでもいいじゃないか」と思っていたそうです。人と違って何がいけないの、と。しかしながら、いざ我が子がそうだと知った時には受け入れることができなかった。母はそのことを思い返しては、「なぜ、由梨が告白してくれた時にそういう反応ができなかったのか」という思いが常にあったようです。