運河パレードに参加する船に乗っているのは、もちろんLGBTQI+の当事者が多いわけですが、その一方で、Allyの方たちも相当な数います。同じく、運河沿いでパレードを見る方たちもまた、当事者の方たちだけではなく、Ally の方たちです。私のように当事者であれば、「今日こそは!」と張り切る気持ちもありますが、それをサポートしてくれる方たちがいて、一緒に楽しんだり、メッセージを伝え合えるのはとても心強く感じるし、喜ばしいことでもあります。近年では、「ただパーティー気分で楽しみたいだけじゃないか」と批判する人もいるようですが、私からしてみれば「それの何が悪いの!」とも思います。聞くところによると、アムステルダムのプライドでさえ、始まった当初は当事者の人たちと、ごくわずかな限られた人たちが参加するだけのイベントだったようです。それが今では何十万人もの人を魅了するイベントになり、LGBTQI+の人たちや団体のメッセージを広く発信するプラットフォームになっています。

「アンネ・フランクの家」近くにある西教会にもレインボーフラッグが。

自由と尊厳を尊重する都市アムステルダムでの「プライド」に、今回は「Pride House Tokyo 」の船で、日本の同志の方たち、オランダに住んでいる当事者のみなさん、Ally のみなさんと運河パレードに参加する貴重な体験をさせていただきました。アムステルダムに住む私の日常は、子供を育てることに忙しく、「レズビアンである私」を考えることはほとんどありません。しかし、日本から来た当事者の方たちは、「アムステルダムって、いいね! 自分が自分でいられる街だね!」とおっしゃってくださいました。そういえば私も初めてアムステルダムに来て街を歩いた時に、そんな印象を感じていました。そんな記憶がよみがえり、改めてアムステルダムに住むことの意味を考えさせられ、また、オランダに住むことの幸せを感じる一日でもありました。

「プライド」の時期に限らず、アムステルダムはみなさんをあたたかく迎えてくれる街です。興味のある方は、ぜひ一度いらしてみてください! 冬は北海からの風が吹きつけてとても寒いので、春から夏、秋にかけてがおススメです。

[参考サイト]
■『プライド・アムステルダム』公式サイト
 https://pride.amsterdam/?lang=en
■「運河パレード2019」公式アフター動画
 *「1:30」あたりに「プライドハウス東京」の船が。
 https://www.youtube.com/watch?v=n_xqqJtASG8
■『プライド・アムステルダム2018』リポート
前編:https://trponline.trparchives.com/magazine/wppreport/11150/
後編①:https://trponline.trparchives.com/magazine/wppreport/11730/
後編②:https://trponline.trparchives.com/magazine/wppreport/12027/
特別編:https://trponline.trparchives.com/magazine/wppreport/11521/

■金 由梨
東京都台東区出身。2009年にエラスムス大学大学院留学のためオランダに移住。
2010年に同性パートナーとワシントンDC(アメリカ)で結婚。現在アムステルダム在住。アムステルダム自由大学大学院にてHRマネージメントを勉強している。3歳になる娘と、5月に出産したばかりの第二子と、二人の子育てに奮闘中! 
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