みなさん、こんにちは。アムステルダムはすっかり秋模様。ずいぶん肌寒くなってきました。前回は娘のアムステルダムにおけるマルチ言語生活の一部をご紹介させていただきました。娘が複数言語を話すことも、彼女にとってはあたりまえ。そしてもう一つのあたりまえが、娘にはママが二人いる、ということ。アメリカ人のベネッサはママ。私はお母さん、と呼ばれています。最近になって彼女が、’ I have two mommies.’ (私にはママが二人いる)と言うようになりました。
娘:I have two mommies.
私:そうだね。ママとお母さんだもんね。
娘:でも、Layla (同級生)は、ママとパパがいるんだよ。
私:そうだね。
娘:I have two mommies.
私:そうだよね。
まあ、もうすぐ4歳といえども、そんなに複雑な会話はできません。私が嬉しいなあ、と思うのは、娘の「I have two mommies. 」の言い方です。すごく嬉しそうに言うんです!(親バカを許して)幼稚園で何か言われたとか、そういう感じではないのです。
私:幼稚園で、誰かにママが二人いることを聞かれたの?
娘:うーん、なんかー、どうしてママ二人なの?って。
私:で、なんて言ったの?
娘:ママとお母さんがいるから、ママが二人って言ったの。
答えになっているようで、答えになっていないような。この質問をしてきたお友達のお母さんに、お迎えの時に会う機会があったので、「どうやらLeyla が、うちの子にどうしてママが二人なのか、聞いてきたみたい。思う通りに説明しておいてあげて」と言ったところ、「分かった。由梨とベネッサが結婚したから、ママが二人なのよって言っておくわ」……この説明に間違いはない。確かにベネッサと私が結婚して、娘が産まれてきてくれたのでこういう家族構成になっている。ただ、Leyla が聞いている「どうして」の裏に、「どうしてパパじゃないの?」という疑問がある気がする。それを Leyla ママに言ってみたところ、「そうかもね、でもそれを私が聞いちゃうと、彼女に「普通は」ママとパパがいるもんだ、って思わせちゃうじゃない? それは避けたいの。だって母子家庭も父子家庭も、ママ二人の家庭もパパ二人の家庭もあるじゃない? いろんな家族がいるっていうことを、うちの子には教えておきたいのよ」。ああ、恥ずかしい。私自身が自分の家族構成を「普通じゃない」と決めつけていたんだ。そもそも「普通の家族」って何だよ? 誰が決めたのよ? この経験を通して、私は思いました。私が培ってしまった「偏見」を娘に植え付けないためにも、聞かれた質問にはシンプルに答え、かつ聞かれたこと以上の説明をするのはやめよう、と。
裏を返せば、娘が、「ママとお母さんがいるから、ママが二人いる」という説明は、彼女にとっての「普通」だったのだ。だって、産まれた時からそうだったから。彼女の誕生の瞬間にはベネッサがいた。彼女が産まれてきてくれて、私が最初に抱きしめた。出産でフラフラだった私は満足に抱けず、ベネッサが抱いてくれた。その日から私たちは家族になって、毎日過ごしてきたのだ。数か月前には妹も産まれて、4人家族にもなった。それだけで十分幸せなのだ。