シンくん:タカが賑やかなところは嫌いなんで、あまり出歩かないんですよ。僕は基本的に行きたい派なんですけど。
タカさん:ああ(笑)。ついこの間、シンくんが仕事で土日を留守にしててヒマだったので、「CHURCH」(連載第5回)に行ったとき、あれはすごかった。
由梨:すごいって……?
シンくん:僕が一人で行ったら怒るのに!
タカさん:いや、もう。ドアを開けたら、そこでコトが起こっていて……。
由梨:え?? ハプニングですか?
タカさん:もう、そこでやってて……。
由梨:えー!
タカさん:踊ってる人たちと、やってる人たちと、距離近いみたいな。衝撃を受けました。性に開放的なアムステルダムを目の当たりにしました……。
由梨:すごい……。それは日本ではないですね。ちなみにこれまでオランダで暮らしてこられた経験を踏まえて、これからオランダに来てみたい、住んでみたいという日本のゲイ男性やLGBTの方たちにメッセージはありますか?
タカさん:オランダは移民にとても優しい国なので、もし興味があるならぜひ気軽に来てみてほしいです。オランダは高いワークライフバランスを保ちながらもキャリアアップできる国として知られています。高スキルな人材が文字どおり世界中から集まっており、移民には30%の所得税免除など手厚い待遇があります。働き方も皆とても柔軟で、同僚の中には、週3日はうちの会社で働き、他の2日はスタートアップで働く人、家族のために週の半分だけ働く人、会社を辞めて数年ほかのEU国に移住して起業する人など、いろいろなことがとても自由だなと感じます。大げさかもしれませんが、多様性を受け入れ誰もが活躍できるオランダに来たことで、いろいろな意味で人生の舵取りを自分自身に取り戻せた気がします。
由梨:そうですね。同感です。5年いれば永住権も取れますしね。
タカさん:そうですね。本当に移住しやすいと思います。特にアムステルダムは、グローバルビレッジと呼ばれる、本当に多様性の街です。会社でもマジョリティーの人種がいない、みんなマイノリティーというような環境で、本当に刺激的です。ここ数年、ブリグジット(英国のEU離脱)の影響で、さらに多くの国際機関や国際企業の本部がオランダに集まってきています。ロンドンやパリと比べ生活コストもそれほどかかりません。これから、留学や移住を考える方にはまさに穴場といえるかと思います。ヨーロッパの国の中では少し印象の薄いオランダですが、LGBTはもちろん、自分らしい人生を謳歌したい全ての方におすすめできる寛容と自由の国です。
由梨:なるほど。いろいろお話を聞かせていただいて、ありがとうございました。
今回は、あつしさん、タカさん、シンくんの3人にお話を聞いてみました。ゲイ男性の場合は、シングルで来るか、カップルで来るかで、オランダ生活に対する見方も少し変わるようです。いずれのみなさんも、オランダでゲイ男性として充実した生活を送っていらっしゃる、そんな印象でした。
ちなみに、あつしさんはデン・ハーグにお住まいで、タカさん・シンくんカップルはアムステルダム在住です。「CHURCH」はいわゆる、そういう出会いもある傾向のクラブです。アムステルダムのクラブでどこでもそんなハプニングがある! ということではありませんので、ご安心? くださいね!
人生いろいろ、カミングアウトもいろいろ。ゲイ男性3人のオランダ生活を紹介することで、日本にいるLGBTのみなさんに、少しでも勇気づけることができたら幸いです。
東京都台東区出身。2009年にエラスムス大学大学院留学のためオランダに移住。
2010年に同性パートナーとワシントンDC(アメリカ)で結婚。現在アムステルダム在住。3歳になる娘の子育てに奮闘しつつ、アムステルダム自由大学大学院にてHRマネージメントを勉強中。