第748号解釈の概要

 第748号解釈は評議に加わった14名の大法官[*5]のうち、12名の賛成という圧倒的多数で、以下の解釈文のように違憲判断を下した。また、呉陳鐶大法官が少数意見として反対意見を、黄虹霞大法官は一部反対意見を書いた。

[*5]黄瑞明大法官は妻、尤美女氏が国会議員で、同性婚法案のもっとも熱心な推進者であったため、自ら回避を申し出た。

 示された解釈文の全文は以下の通りである。

「民法第4編親族第2章婚姻の規定は、性別を同じくする両名については、共同生活を営む目的のために、親密性と排他性ある永続的な結合関係を成立させていない。この限りにおいて、憲法第22条が保障する人民の婚姻自由及び第7条が保障する人民の平等権の趣旨に反している。関係機関は本解釈公布の日から2年内に、本解釈の趣旨に従って関係する法律を改正ないし制定しなければならない。いかなる方式により婚姻自由に対する平等な保護を達成するかについては、立法機関の裁量に委ねる。期限が過ぎても 関係する法律を改正ないし制定しなかった場合には、性別を同じくする両名につき上述のような永続的結合関係を成立させるために、上述の婚姻章の規定に従って、二人以上の証人が署名した書面を持参することで、戸政機関において結婚登録をなし得るものとする。」

 解釈文には長文の解釈理由書が付されている。ほぼどの論点も日本にもそのまま当てはまるし、よくある同性婚反対論への説得力ある反論を含むので、重要な点をやや詳細に列記する。

(1)背景
 ①申請者、祁家威が立法、行政、司法機関に対して繰り返し同性間の婚姻を求めてから、すでに30年以上の時間が経過している。②2006年以来、立法院には同性間の婚姻を法定するための法案が7つ提出されてきた。すでに10年以上も経過しながら、いまだにいつ採択されるか見通せない状況にある。③大法官は人民の基本的権利および自由民主憲政秩序などの価値の擁護を任務とするとの観点から、拘束力のある司法判断を下すこととする。

(2)婚姻自由権違反
 ①婚姻適齢にある配偶者のいない者には結婚の自由があり、それには「結婚するかどうか」「誰と結婚するか」の自由を含む。②結婚の自由は人格の健全なる発展、人間の尊厳の護持にかかわる重要な基本権(a fundamental right)であり、憲法22条の保障を受ける。③同性間にも親密性、排他性、永続性ある結合関係を成立させても、異性婚が構築してきた既存の社会秩序を変更しないし、かえって社会を安定させる基盤ともなりうる。④同性に性指向が向く人にとっても、婚姻の自由は同様に不可欠である。⑤同性間に結婚を成立させないことは、立法上の重大な瑕疵であり、憲法22条に違背する。

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