婚姻平権プラットフォーム 地上戦で応戦

 対する同性婚推進派には潤沢な資金はなかったため、ボランティアの人海戦術による地道な地上戦で応戦するしかなかった。「平権前夕、彩虹起義」(権利平等目前、レインボー蜂起)を旗印に、「婚姻平権小蜜蜂」(婚姻平等ミツバチ)と呼ばれる当事者を中心とする若者が夜更けまで街頭に立ち、道行く市民一人ひとりに支持を訴えた。同性婚運動推進の連合体として結成されたNGO、婚姻平等プラットフォームは、ミツバチたちを組織し、「蜂潮行動」と名付けた活動を展開した。最終的には約500万台湾ドル(日本円で約1,700万円相当)の募金を集め、台湾全土でface to faceで市民と向き合った。同性愛への理解を深めさせ、支持を獲得する努力を街頭で続けたのである。

 賛成派は「両好、三壊」(2つの良いと3つの悪い)として、賛成派の⑭と⑮には「Yes」を、アンチ派の⑩⑪⑫には「No」の投票を呼びかけた。大学生などの若者が、街頭でレインボーフラッグとプラカードを持ち、見知らぬ市民に声をかけ、ビラを配る姿は感動的だった。この国の未来を自分たちの力で切り開いていくという若者たちの頼もしい覚悟を感じた。

街頭で婚姻平等への支持を訴える「小蜜蜂」たち。@婚姻平権大平台HP

「両好三壊」の投票を呼びかける伴侶盟のビラ。

テレビ討論会

 国民投票法は投票日までに各投票事項ごとに、それぞれ少なくとも5回の意見発表会を開催し、テレビでディベートを中継することを義務づけている(同法17条2項、3項)。そのため今回両派から出された5項目の国民投票に向けて、合計25回もの討論会が開催され、テレビ放映された。11月3日から21日までに行われた意見発表会は、以下、中央選挙委員会のサイトにリンクがある。
 https://www.cec.gov.tw/referendum/hearing/rmedia

 意見発表会は中央選挙委員会が主催し、賛成、反対両派の代表1名ずつが出席し、意見を陳述し、相互に質問をし、討論をする。毎回おおよそ1時間程度行われる。例えば、第14項目について11月20日に放映された意見発表会は以下から見ることができる。この回は賛成派から苗博雅氏、反対派からは下福盟の遊信義氏が意見を陳述した。
 https://www.youtube.com/watch?v=kD-GWfknoJU&feature=youtu.be

 毎回熱のこもった激しい議論が交わされ、同性婚および性教育に関する主要な論点が網羅的に取り上げられ、議論されている。この意見発表会を見れば、民主主義が「言葉」による闘いのアリーナであることを実感するであろう。

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