『第17回台湾LGBTプライド』開催

 10月26日には『第17回台湾同志遊行(台湾LGBTプライド)』が文字通り盛大に開催され、主催者によると、これまでの最多の20万人を超える人びとが参加した。今年は市内東部の台北市政府前の広場を集合地点として、目抜き通りの忠孝東路をまっすぐ西へ進み、台湾政治の心臓部であるケタガラン大道(総統府前広場)までの5.5㎞を練り歩くコースが設定された。

 前日からグーグルマップではパレードのコースが、レインボーに着色された。毎年10月の最終土曜日が通例となった台湾プライドは、今やアジアで最大規模を誇り、世界中からLGBTが集まる一大イベントとなっている。沿道にもあふれんばかりの人がパレードに声援を送り、付近のお店の人たちも店頭へ出て、手を振ってくれた。とくに今年は5月24日から司法院釈字第748号解釈施行法(いわゆる同性婚法)が施行され(連載第1回参照)、同性間の婚姻の登録が開始された「同婚元年」にあたることもあって、格別の盛り上がりを見せた。

 市政府前広場には約100軒のブースが並び、NGOや企業がPRしたり、各種グッズの販売などを行う「彩虹市集」も開催された。会場を埋めた世界中から集まったおびただしい数のLGBTやその支援者、友人、家族らが、各ブースを回遊しながら、パレードの出発時間を待っていた。また、会場中央にはステージが設置され、壇上では今回のパレードの意義、参加団体、企業などが紹介され、賑々しくパフォーマンスが披露された。

約100軒のブースが並ぶ市政府前広場の「彩虹市集」。

大いに盛り上がるTRPフロートの参加者たち。

 

TRPフロートは藍組を先導

 今年も台湾パレードへの外国からの参加者のなかでは、日本人の姿(とくにゲイ)がもっとも目立っていた。東京レインボープライド(NPO法人TRP)も、例年どおりフロートを出して参加した。今年のパレード隊列は紅、橙、黄、緑、藍、紫の6つの隊列に区切られた。このうちTRPは主催者から藍色の先頭フロートを任され、NGOや企業のフロート、チームを率いて行進した。藍以外の5つの先導車は、それぞれ台湾のNGOが率いたが、TRPにそのうちのひとつが割り当てられたのである。これも長年の日台LGBT間に築かれた信頼関係の証であろう。
 TRPは「台湾平権、日本跟進」(台湾平等化、日本も続くよ)の文字をプリントした揃いのTシャツを用意。フロートの上では「慶祝台湾婚姻平権、日本接棒」(台湾の婚姻平等化おめでとう、日本がバトンを引き継ぎます)と書いた大きなレインボーフラッグを振って、忠孝東路沿道の大群衆にアピールした。

藍グループの先頭フロートを任されたTRPのフロート。

 

「LGBTはよきご近所さん」

 台湾プライドは例年、台湾同志遊行連盟が主催してきたが、今年は台湾における当事者団体の老舗にして、最大規模のNGOである台湾同志諮詢熱線協会(LGBTホットラインが主催を引き受けた。主催者が定めた今年の台湾パレードのテーマは「同志好厝邊」、台湾語で「LGBTはよきご近所さん」の意味を表す。同性婚が実現したことでLGBTの存在がより可視化され、ありふれた普通の隣人になるという意味を込めた。あえて北京語ではなく、「好厝邊」と台湾語にすることで、大多数の台湾LGBTが抱くナショナル・アイデンティティを示唆しようとしたのであろう。
 集合地点では、主催者が「同志」「好」「厝邊」「多元」「愛」「台湾」「民主」の文字が大きく印刷された7色のDM(ダイレクト・メッセージ)を参加者に配布した。参加者たちがこれらを自由に組み合わせると、独自のメッセージを発することができるのである。

 たとえば、この写真のように「台湾厝邊好愛同志」とすれば、「台湾のご近所さんはLGBTが大好き」の意味になる。「多元同志好厝邊、台湾愛民主」なら、「多様性あるLGBTはよきご近所さん。台湾は民主主義を愛しています」となる。DMは各色1万部ずつを作成したが、「民主」だけはわざと数を少なくしたという。民主主義が得がたい貴重なもので、大切にする価値があることを伝えるためである(鄭智偉代表)。

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